小さな嘘—主観性とパースペクティブ

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『小さな嘘—主観性とパースペクティブ』

 

我々が写真を通じて現実をどのように認識し捉えるかについて考察する。
カメラで外界を捉え、写真を通し異なる視覚的経験を提供する。
今回の展示は認識論的視点と写真の力について問いかけを提供し、
現実の多様な側面に思考を巡らせます。

コンセプト
学生時代に風呂場で撮影済みの白黒フィルムを現像し、暗室で写真を引き
伸ばした写真の発表をしていた。学校のアートクラスでフランス系アメリカ人
の先生より「わびさび/Wabi-Sabi」の概念を一から学んだ。その後、旅先の
異国でアート作品を観賞し、更には友人と共に作品を制作発表をすることで、
自分がそれまで感じたことのなかった価値観に触れてきた。その経験から今
思うのは、写真の歴史はまだ新しく、今もなお変化し続けているということだ。
写真には国や言語ごとに異なる呼び名があり、さまざまな概念で捉えられて
いる。そして同時に鑑賞者も変化している。同じ場所でNikonとiPhoneで
撮影された写真は、いつ、どこで、誰が見るかによって、無数の異なる解釈
が存在している。写真は特定の目的や用途に縛られるものではなく、撮影
者の信じる形で永遠に残ると考えています。
今回の展覧会で、私は写真というメディアを通して制作された作品を発表し、
アプローチの違いが、写真というメディアの意味や価値にどのような影響を
与えるのか、そしてその違いが、私たちが日々目にしている現実の認識とどの
ように関係しているのかを検証しています。
村井旬〔美術家〕

出品作品

深い光 2024年/アーカイバルインクジェットプリント
私たちに目まぶしく映る光の反射はカメラが過去に記録した光だ。そ
の光はどこまで遡るのか想像しながら、私はそれを作りあげた。


ときの進む方向 2024年/アーカイバルインクジェットプリント
水が流れる際には時間がかかります。そう考えると、一枚の写真の中
で水が異なる方向に流れているように見える場合、時間が過去から未
来へと流れるだけでなく、頭の中の空間にはその他の方向にも進んで
いるように思えるのではないでしょうか。
*前期のみ展示

けむり 2024年/アーカイバルインクジェットプリント
この作品は、具体的なものではないものを写し撮ることから始まりま
した。アトリエの隅に撮影セットを設置し、煙に向かって何度もシャッ
ターを切りました。偶然が重なることで、一枚の写真が完成しました。

透明な花 2023年/セロファン、インクジェットプリント/アクリ
ル BOX
私は写真について、単にカメラで事物を撮影して、写真用の紙に印刷
されているものと考えています。しかし同時に、ただの映像ではない
写真作品も制作しています。写真を物質として見ることで、写真その
ものが表現媒体としての性質に近づくことができ、その逆説的でユ
ニークな側面が生まれると思います。

花とわたし 2024 年/アーカイバルインクジェットプリント
自宅から自転車で多摩川の方向に行くと、季節ごとの花が美しく咲い
ている花壇がありました。毎日、同じ場所を通り過ぎながら写真を撮
り続けるうちに、花の変化に気づくようになりました。それ以来、花
を撮影することが興味が湧いてくるようになりました。
*後期のみ展示

アクセス
会場:羽村市生涯学習センターゆとろぎ〔1階ロビー/2階通路内〕
会期:2023.2.10.(Sta.)〜3.23.(Sta.)
時間:9:00〜22:00  *月曜は休館
アクセス:JR青梅線羽村駅 東口…徒歩8分
〒205-0003東京都羽村市緑ヶ丘1-11-5
協力:ゆとろぎ協働事業運営市民の会
*今回は作家は会場に在廊はいたしません。