file no.103『乱反射』

 21世紀になって人がロケットに乗って宇宙に浮かんでいるステーションの中で滞在する時代になりました。より遠くに、より早く僅かな時間を惜しんで移動し続けるいま、偶然にも100年振りにウィルス感染症によって地球全体が覆い尽くされてしまいました。時が過ぎ、眼前に迫るこの問題を現代医学に希望を託し、人々は普段通りの生活が戻ってくる日を迎える準備を始めています。私たちは社会が未来を模索する動きに合わせ《GENZAI・乱反射ー貴方の放つ光は何処へ行くのだろう/GENZAI ー Diffuse reflection - Where will your light go?》展を開催します。自分が放った光が、大きさや色を変えながら直進し、反射を繰り返し想像を超えて社会の中を駆け巡ります。実現可能なアートの社会的価値の議論に参加して、社会とアートの接点をつくるためのアートプロジェクトです。

 外出や対話などの社会的行動を極限まで減らし、コロナ収束を待ち続けた2年が過ぎようとしています。先の見えない長い時間は、ライフスタイルや価値観の内側を揺さぶられつづけました。コロナ前の生活が遠い過去となったいま、私は自分たちの身の回り以外の社会全体がどの様な変革を求めらたのかを振り返る時がそこまで来ていると感じています。そしてニューノーマル社会のなかでアートがどこに向かって進んでいくのか、大きな期待と関心を持って見守っています。

 冬眠していたアーティストにとっても新しい時代が訪れます。コロナ禍、いつも経済的利益と感染拡大防止協力の両方が目の前に突きつけられてきいました。コロナ収束後の社会にとって、命の次に大切なものは希望のはずです。経済的利益よりも大切なものは学びであって欲しいと願っています。そして次のフェーズは個人の自立です。積極的に文化芸術に心を開き、コロナ感染によってグレー色に変質してしまった暗雲立ちこめる社会に、いまから自分たちの手によって色を描き加えていく、その覚悟をもって行動を起こす時が来ています。ニューノーマル社会とは多くの人が開かれた自由を許容する社会を目指して欲しい思います。

 《GENZAI・乱反射ー貴方の放つ光は何処へ行くのだろう/GENZAI ー Diffuse reflection - Where will your light go?》展は様々なジャンルのアートにまつわる人々の知恵を集結させるものです。巨大な力による世界的経済転換期の荒波を乗り越えてきたアーティストが貯えた、困難な局面を突破できた経験と知恵が蓄積された大きな力を現在地点から未来を予測し社会へと還元します。そのためにも私たちは作品を作り、発表し、インターネットを有効的に活用し新しい活動スタイルを自分達の手で作り出し続けます。多くののアートプログラムをご覧いただき、アフターコロナ時代が人々にとって大切な文化芸術を見つけ出す機会となれば幸いです。

 村井旬(主催者/美術家)

乱反射展ー貴方の放つ光は何処へ行くのだろう Diffuse Reflection – Where will your light go? 文化庁ARTS for the future!(コロナ禍を乗り越えるための文化芸術活動の充実支援事業)

【会期】2021年11月1日~12月30日
【会場】2階の部屋[Alternative Space]、1階の廊[Viewing Space]/東京
【参加作家】アダムス・ヴァール、國枝彩乃、マット・シェーファー、村井旬

参加作家

『煙になると』アーカイバルインクジェットプリント、20.32×25.4cm 2021年

村井旬/Murai Jun(東京都府中市在住)
東京都出身、1997年 テンプル大学アメリカ研究学科卒業、【主な展示】2016年 「ますいい建築圏」 川口市アートギャラリーアトリア (川口市/埼玉)、2017年 「Art Viewing OME」青梅市立美術館、2018年 「ディベータブル」展 2019年 「村井旬写真展」百笑ギャラリー (相模原市/神奈川) 「平面の彼方#2」 2階の部屋・珈琲焙煎舎オルタナティブスペース(府中市/東京)2019年「GENZAI Now and Here」 2階の部屋・珈琲焙煎舎オルタナティブスペース(府中市/東京)【アートディレクション・ワークショップ】2009~2015アートプログラムアートプログラム青梅実行委員会事務局。2006年 「ワークショップ写真で発見!」(府中市美術館)他多数。
ウェブサイト:www.muraijun.com

僕の表現のヒントは日々の生活している社会から得ています。製作は自分の人生に刻み込む光、その軌跡を残す行為です。未来の未だ自分の知らない方向に顔を向けながら考えいます。この2年間、自分の生きてきた人生のなかで最も長い間社会が揺れ動き続きました。地球上の全人類が一斉にコロナウィルスという非生物に対して真正面から対峙したことは、私の心に深く刻み込まれました。私にとって表現とは、様々な経験から生まれてきています。
『Reflected Light』アクリル。木パネル、2021年

アダムス・ヴァール/Adams Verl(東京都八王子市在住)
2020年「Members’ Juried Exhibition」アートフォトセンター、(カーメル、カルフォルニア)「アートの射程—ソーシャルディスタンス」2階の部屋(府中市/東京)2019年「Annual Photo Exhibit」「Photography + Art Exhibit」ハーベイミルク・フォトセンター(サンフランシスコ)2018年「Annual Photo Exhibit」ハーベイミルク・フォトセンター(サンフランシスコ)他多数。
ウェブサイト:https://www.verlanceladams.com
ウェブサイト:https://www.lensculture.com/verl-adams

東京のアパートに閉じ込められて1年半が経ち、絶え間なくコンピューターの画面を見つめていました…パンデミックは、旅行したり、外に出たり、自然の中で時間を過ごしたりしたいという私の欲求を新たにしました。 私は、米国のアリゾナ州とユタ州との国境近くにある赤い岩のメサと峡谷の中で育ちました。そこでは、多くの場合カメラのレンズを通して、砂漠の風景に対する太陽の影響を観察することに多くの時間を費やしました。 これらの作品では、ユタ州キャニオンランズのメサアーチなど、自然界で見られる反射光の現象を捉えて表現したいと思いました(下写真)。 この柔らかく光る拡散光は、精神的な質が強く、自然の存在を表現しています。
『Zashiki-warashi』段ボール、木材、スピーカー、アンプ、センサー、DMX信号再装置、他、サイズ可変、2019年

國枝彩乃/Kunieda Ayano(東京都府中市在住)

2016 「アートで表現するパラスポーツ」スリットアニメーション作品展示(三田/東京)インタラクション2017 作品展示(中野/東京)2018 第23回日本バーチャルリアリティ学会大会 芸術展示学術奨励賞(仙台/宮城)2019 「現在:Genzai Here & Now」2階の部屋(府中/東京)

人々がコロナウィルスで苦しむ中、今日も世界の片隅で生活をしている生き物たちがいる。
人間社会を別の生き物から見たら、どのように感じているだろうか?
彼らは人を娯楽として見ているかもしれない。
彼らは捕食者として人を狙っているかもしれない。
彼らは人に全く興味がないかもしれない。
様々な生き物が、お互いの気配を感じながらバランスを取って生きている。
その生活の一片を表現しようと試みた。
『住み家求めて』珈琲、他、100x81cm、1999年

橋本俊宣/HASHIMOTO Toshinobu(東京都青梅市在住)

日本版画協会展’79準会員賞、1975~’05日本版画協会展、’79準会員賞1979年新人推薦展(養清堂画廊)サンシャイン版画版種別グランプリ展、主な個展2006~橋本俊宣(本名)で20年間の飲み残を貯めた珈琲で描いたタブローでTACに参加、2013TACプロジェクト2013「5つの空間展」(たましんギャラリー)、2016「不思議な世界へ」展レ・トロワ・アヌー、2016~2017アートビューイングOME

生まれは北海道釧路、湿原の中で育ちました、その中でも秋の湿原の枯れた神々しい輝き、そして思い出すのは沼に落ちてしまった恐怖の体験、ただ光(明るいところ)を這い上がって来たあの光このことが今制作できて、又その一部になっているのは確かです。
『Astroscape#16』サイアノタイプ、28x28cm、2021年

マット・シェーファー/Matt Schaefer (カルフォルニア州・サンフランシスコ在住)

バージニア工科大学修士課程卒業 2020-現在 「Liminal + / – Subliminal」814ギャラリー、ソレトレイク、ユタ州。2019「アートビューイング西多摩」青梅市立美術館(青梅市/東京)。2019「現在:Genzai Here & Now」2階の部屋、府中市/東京、他多数
ウェブサイト:matt@situatedbit.com

コロナ禍での表現とは

このパンデミックの不確実性と予測不可能な道を生き抜くことで、私は創造的なエネルギーを長く深い時間のテーマに集中させることができました。
《アストロスケープ》*2階の部屋展示中のプリントで、私たちの認識を超えて、私たちの一般的な経験を超えて世界を写真に撮ることが私たちにとって何を意味するのかを考えることができます。太陽系、銀河、または宇宙に私たちの文脈を広げることによって、人類の長いアーチと可能性を考慮することが私たちの義務になります。自然との戦いは、この観点からは異なって見えます。

関連企画

アートの輝きはこの先何処へ向かっていくのだろうか?ーアートの意義と経済

積極的活動 トークイベント <オンラインライブ配信>
『アートの輝きはこの先何処へ向かっていくのだろうか?ーアートの意義と経済』

前半のトークイベントでは新型コロナウイルスによって変化した現状をどのように捉え、これから先の府中の街の行方をスライドを交えてお話頂いた。

後半のセッションは専門性を有した有識者3名でアートが社会とどのように繋がりを持っていくのか。今後の展望について議論・発言をしてもらった。

関連企画「トークイベント&トークセッション」
【日時】 2021年 12月11日/14:00-16:00 【参加方法】 オンラインライブ配信 【収録】 珈琲焙煎舎2階展示場 【参加費】 無料

第1部・トークイベント 『アートと街ーコロナ禍からの府中カルチャーの出口/武居利史x廣瀬健』

【登壇者】 武居利史(美術評論家/府中市美術館学芸員)、 廣瀬健(建築家/(株)アワーデザイン代表取締役)

第2部・セッション 『アートの輝きはこの先何処へ向かっていくのだろうか?ーアートの意義と経済』

【登壇者】 武居利史(美術評論家/府中市美術館学芸員)、 廣瀬健(建築家/(株)アワーデザイン代表取締役)、 村井旬(美術家/GENZAI代表) 【モデレーター】 横須賀ヨシユキ

<パネリスト>

武居利史/Takei Toshifumi(府中市美術館学芸員・府中市在住)
美術評論家。美術館学芸員。主に日本の近現代美術、美術教育、文化政策、社会主義文化論。個人の立場から政治・経済もコメント。

廣瀬健/HIROSE Ken(株式会社アワーデザイン・府中市在住)
一般社団法人)まちづくり府中・タウンマネージャー

1981年生まれ、2003年:東京都立大学工学部建築学科卒業、2003年~2017年:(株)日本設計にて都市・建築デザインに従事。2015年:米カリフォルニア大学バークレー校 都市デザイン修士修了(M.UD)。2017年:東京都府中市にてアワーデザイン一級建築士事務所を開設。2017年~現在:一般社団法人まちづくり府中 タウンマネージャー。2019年:首都大学東京 非常勤講師(設計演習)、2020年~現在:東京都立大学 非常勤講師(設計演習)、2020年~現在:株式会社アワーデザイン代表取締役、2020年~府中市観光振興プラン検討協議会委員※(一社)まちづくり府中として、2021年~府中市商店街振興プラン検討協議会委員[会長]※(一社)まちづくり府中として
ウェブサイト:https://hour-design.com

<司会/進行>
横須賀ヨシユキ/Yokosuka Yoshiyuki(DJ・ワークショップ講師・武蔵野美術大学非常勤講師・府中市在住)

横須賀デザイン研究室 1979年 東京都生まれ。多摩美術大学美術学部工芸学科卒。2005年よりフリーランスで造形ワークショップのデザインを研究開発。こどもの城 造形スタジオにて事例集イラストなどを担当。柏の葉アーバンデザインセンター『ピノキオプロジェクト』ディレクター。象の鼻テラス『SLOW LABEL』スローレーベルラボ担当。画用紙の可能性を探る『がようしラボ』ファシリテーター。経験・価値のデザインをミッションに、公民学連携の体験型アートプロジェクトを企画設計。次世代の図画工作をコンセプトにした「じっけんしつ」を都内幼稚園や児童館で開催。美術、素材の視点から環境のグランドデザイン、プランニングをおこなう。府中市美術館アートスタジオワークショップでキッズデザイン賞受賞。

関連企画・ワークショップ

味覚の乱反射

ワークショップ開催風景

積極的活動 ワークショップ 味覚の乱反射-視覚を味覚で表現しよう
【日時】 2021年12月27日、28日 / 13:00~14:00 【会場】 珈琲焙煎舎店内にて実技を開催(1階の廊、2階の部屋内の展示作品を鑑賞) 【チケット】 1,000円(参加費、材料費込み) 【講師】 飯島里沙(珈琲焙煎士)
【講師プロフィール】
飯島里沙(珈琲焙煎士)1983年東京生まれ。シアトル系カフェでアルバイトを含め7年勤務の後、2011年11月11日11時の28歳の時「珈琲焙煎舎」を東京都府中市に開店。手網を使って焙煎をしたコーヒー豆を販売している。メディア紹介:別冊Lightning Vol.215 東京コーヒーロースターズなど多数。

プログラム
始めにブレンドコーヒーの基礎を講師より説明。次に『乱反射展』の作品の中から1つ自分の好きな作品を選んでもらう。じっくりと作品を鑑賞して視覚を元にブレンドコーヒーを作成していく。抽出体験して食べ物とのペアリングを楽しんでもらう。

スケジュール
13:00〜講師紹介
13:05〜コーヒー豆について
13:15〜作品鑑賞
13:30〜ブレンドについて+作成
13:45〜抽出・実食・フィードバック
14:00終了

関連企画・音楽ライブ

音の乱反射

関連企画|乱反射 音楽ライブ
『音の乱反射ーいつまでも、どこまでも』

第1部・音楽ライブ 【日時】 2021年 12月26日/14:00~15:45 【会場】 イン・ヴィーノ・ヴェリータス・サングリア 【チケット】 販売 前売り券2,500円、当日券3,000円 【演奏】 Momo 【サウンドエンジニア】 富 正和

第2部・イスタレーション映像 【日時】 12月26日、27日 【会場】 2階の部屋(珈琲焙煎舎2階展示場) 【映像】 児山紀孝 【作品】 気配(Sign)國枝綾乃

第1部・音楽ライブ
第2部・音楽ライブの一部を動画に編集し『気配(Sign)』作:國枝彩乃のプロジェクターで投影。音楽ライブ映像と立体作品とのコラボレーション作品を鑑賞中。

MOMO(ピアニスト、作曲家、アレンジャー/府中市在住)

富山出身。洗足学園大学ジャズピアノ科、バークリー音楽学院ジャズ作曲科を主席で卒業。同校より秋吉敏子賞を受ける。卒業後は作編曲家としてカリフォルニアでヘンリーマンシーニインスティチュート(全額奨学金)、ニューヨークでBMIジャズコンポーザーズワークショップなどに参加し、若い世代の作曲科と共に研鑽を積む。帰国後は関東を中心に様々なコンサートにピアニストとして出演、作編曲家としてもジャンルを問わず多くの作品に参加し、ダンス、絵、朗読や演劇などとの即興を主体とした取り組みも意欲的に行っている。自己のトリオ(ベース:工藤精、パーカッション:井谷享志)や、東京森のテラスでの子供も楽しめるお昼のソロピアノ、府中merdreメルドルでの多ジャンル飛び入り歓迎のmomo piano solo+(plus)、調布子育てカフェaonaでのおはようコンサートなど大人、子ども、発達の違いなど様々な垣根を越えて楽しめる音楽の場を目指し活動している。近年は保育園でのピアノやウクレレを用いての歌って踊る英語リトミック、放課後デイや発達支援施設などでのリズム体操や歌のオトアソビ、親子での絵と音楽のワークショップなどにも力を入れている。

ウェブサイト:http://www.momopiano.com

関連企画・コラボレーション

コラボレーション・コーヒーパッケージ

関連企画|乱反射展 販売協力
コラボレーション・コーヒーパッケージ』

第1弾・府中うまいものフェア【期間】2021年 11月 1 日~ 30 日【商品】コラボバッグ180円【会場】ミッテン府中 9 階フードコート

府中うまいものフェア第2段!『スイーツ&ベーカリーコレクション【期間】2021年12月1日~19日【商品】ホリデーギフト1,200円【会場】ミッテン府中 9 階フードコート

私について

上にスクロール